どうすればISO審査員になれるのか?

ネット上に出てる「ISO審査員になるためには・・・」的な紹介サイトがことごとく間違っているので、実際のところを書き留めておきますね。

 

結論

審査機関に入る

以上。

 

身も蓋もないけど、現実はこれ以外の道はないです。
じゃ、どうやって「審査機関に入る」のか?というところですが、アプローチは2つあります。

  1. 正社員として入社する
  2. 契約審査員として登録する

どこの審査機関も大体通年で募集しているので、探してみてください。審査機関の募集要項は結構厳しい内容が書いているケースもありますが、半分見栄でしょうね。

 

審査機関の選び方

正社員であっても、契約社員であってもどこの審査機関に応募するのかは、非常に重要です。どの審査機関も審査員は足りていないけど、審査機関の役に立つ人しか採用しないんですよ。当たり前ですね。

自分がどの規格の審査をしたいのか(できそうなのか)を、把握する必要があります。

そして、その規格をたくさん審査している審査機関であれば、採用の可能性は上がります。

例えば、品質を狙っているのであれば、JABのサイトに行くと、こんなページがあります。

www.jab.or.jp

見ればわかりますが、JQAという審査機関は、おおよそ8000件の審査を行っているわけです。2番手は、LRQAで約4300件ですね。つまり、JQAは年間8000件近くの審査をするため、その分審査員の数が必要です。審査は1日で終わるケースもありますが、数日から数週間まで多種多様ですので、稼働としては8000人日ではありません。

 

それだけの審査を行うためには、審査員(人)が必要ですので、その分採用のチャンスは高まります。

 

環境も同じですね。JABのページから探してみてください。

 

また、品質や環境については、産業分野も重要です。

規格上、審査員の業務経験のある産業分野しか審査ができない(例外はありますが割愛)ので、職務経歴と合わせて選定する必要があります。

これも事例を挙げると、品質の審査員を目指していて、造船業に関する業務経験のある人だった場合、審査件数の一番多い、JQAに行っても採用される可能性はほぼないでしょう。2番手のLRQAに行ったほうが可能性は高いです。なぜなら、造船業の審査件数がJQAは0件で、LRQAは51件行っているからです。

JQAに行っても造船業の知識は役に立たないのです。そのため、採用にはつながらないことになります。(少し言いすぎですが、そういうことです)

 

情報セキュリティは、ISMS-ACのサイトから同じように探せます。頑張ってください。

こちらは産業分野の縛りはない(IT系の業務経験があればよい)のですが、大卒以上の学歴が求められたりします。

 

審査機関の採用基準

募集要項にいろいろ書いていますけど、結局のところ、審査機関の役に立つ人材かどうかしか見てないです。先に書いたように、今抱えているクライアントの審査が行えるかどうかを判断しています。そのために職務経歴や業務経歴が重要視されます。おそらく転職回数は気にしていないでしょう。むしろ様々な業種での勤務経験があったほうが優遇されることもあると思います。

 

ところで、審査員の年齢って、知っての通り非常に高齢者が多いですね。10年ほど前のISOSの記事ですが、57歳超えてるようです。

yusakunakao.com

10年経過しているので、今はもっと高齢化しているかもしれないです。そういった意味では、最大手の企業は人の新陳代謝を進めているはずですので、若い人のほうが優遇はされそうです。

 

採用面接

おそらくどの審査機関も、コミュニケーション能力が中心と思います。審査に行く先々で「はじめまして」から始まりますし、審査は結局のところ会話からはじまりますので、初対面でもしっかり話ができるかどうかが大切です。

 

ISOの審査員資格

どこのサイトにも書いてある「審査員研修コース」への合格、審査員補の登録は、あればいいけど、なくても別に気にしないのが大手の審査機関です。

審査員になるためには、5日間の審査員研修を成功裏に終了(合格)していることは必須なので、採用前に終わっていれば、審査機関から見ればラッキーですし、なければ採用後に受けてもらえばいいだけです。審査機関も研修コースを開催しているので、一般の方と一緒に参加してもらうだけです。

それと、JRCAとかIRCAへの審査員補の登録ですが、規格には書いていないので、どの審査機関もぶっちゃけどうでもいいはずです。(社内規定として定めていることはあるかもしれません)

 

中小の審査機関だと、ほかの審査機関での業務経験がないと採用されないケースもあるようですね。

 

正社員か契約審査員か

現時点で、副業されているのであれば、契約社員という選択肢もあるとは思いますが、正社員のほうがいろいろな面で優遇されることになります。

 

入社してから審査員として、お客様のところに行けるようになるまでには、数か月かかります。正社員での採用であれば、月額報酬が約束されることになりますが、契約審査員の場合は、基本的に手弁当です。交通費程度の支給しかありません。

また、トレーニングについても、正社員が優遇されるでしょう。正社員としての雇用は、固定費ですので、早く独り立ちしてもらう必要があります。一方契約審査員には、固定費が発生しないので、同時期に正社員と契約審査員がいる場合は、どうしても後回しにされがちです。

 

結論

ISOの審査員になるためには、審査機関に採用されることが最重要!
そのほかの事項は、全部些末な話です。